2004年3月28日(日)
朝からせっせと働く。午後から私ひとりおでかけするためである。オットがSDを買ってもいいよと言ってくれた。愛を感じました、ありがとう。なんだかそう言ってもらえるだけで嬉しい、満たされるような気持ちがあります。
午後から愛するアーティストさまのファンクラブ再結成のための記念イベントへと出かけて行く。ひさしぶりの銀座。一人で歩いてみてその身軽さに驚く。長いこと駅は恐怖の場所、というかとにかく気を張り詰める危険がいっぱいの場所だったのだけれど、ひとりでいればなんてさっさか階段を昇り降りできるんでしょう。
ひとりでライブに行く、ということ自体はもしかしたら初めてだったのかもしれない。昔は友達が、結婚してからは常にオットが一緒だった。その最愛のアーティストさまにしてもオットは仕事でおつき合いがあるので、必ず楽屋に御挨拶に行く。でも私は一ファン。もう20年越しの愛だ。今さら一人で行くのなんか平気。行ってみると、おしゃれな大人達の行列が!この方のファンとしては珍しい行動である。それだけ皆の期待が高かったと言うことだろう。素敵だなあと思ったのは着物で来ていらした数人の方。実は私もちらっと「着物…」って考えたのだ。
素敵なクラブの中にはいるとすでにほぼ満席状態。後ろの席がぽつんと空いていたので、緊張して「ここ空いていますか?」と聞いたらどうぞと行ってもらえたので座る。これが大正解だったのだ。この丸テーブルについた5人の女性たち、意気投合してしまったのである。フリードリンクだったのも幸いで、白ワイン、ジントニック、モスコミュールと気持ちよく飲み、目の前のアーティストの顔を見、声を聞きながらお酒と会話を楽しむと言う、またとない贅沢を体験した。アーティストさまは皆と乾杯しにまわってきてくださった。ミニライブがあり、帰りはひとりひとりと話して握手して軽く抱いてくださった。恥ずかしくていたたまれなかった…。しかし彼は私を見るなりかすかに一歩ひいた。
私が「『突き刺さる太陽』が好きなんです。また歌って下さい」とお願いしたら「あらま!そうだなあ、最近歌ってないですね。じゃ、こんどまた、ね」とすごく短く会話を切り上げて、そしてほとんどかすめるようにしか抱いてくれなかった。私が友達になった人とはすごくリラックスしてたくさん喋り、ぎゅっと握手してしっかり抱き締めてたよ〜!?私、握手もなかったし!!!あとでオットに言ったら「そりゃあ、俺の女房だってわかったんだよ。で、うかつにさわっちゃいかんと思われたんだよぉ」と言われてそうなの!?ってびっくり。じゃあ私はある意味、人生で一番深く最初に愛した男性(マジで初めて『結婚したい!』と思った男性だったのさ)の記憶の片隅に、ほんの少しでも場所を頂いているのかしら。ぽ〜っとなってしまった。
それはさておき、帰りは仲良くなった女性達と住所やメールアドレスを交換して、1時間もお茶をして、再会の約束をして帰って来た。私はこれからも一人でライブに行くと思う。オットが逆にアーティストさまのイベントの仕切りにまわっていなければ。その時は、うーん、大出費覚悟でベビーシッターを雇ってでもいこうかな。
帰宅して、オットとはなれていた7時間半の間のことをお互いに報告する。オットたちはお花見に行き、心行くまで桜を眺めたそうだ。子供達はこの頃欲しがっていたハーモニカをサンリオで小さくて透き通った可愛いキティちゃんのものを買ってもらって大喜び。一番のびっくりは、大好きなペットショップに行ったら、娘が白いペルシャ猫の子供のケースの前で固まってしまい、じっとみつめあった挙げ句、涙をぽろ〜っと零して泣き出したと言うことだ。
オットが驚いて「どうしたの!?」と聞くと、娘は「だってこの猫ちゃんの目、あんまり綺麗で可愛いんだもの。お目目が硝子みたいよ、とても綺麗よ」と言って、さらに感極まったように泣いたという。その猫が同じケージのなかのアメショに虐められた時には本当にさらに泣いて「やめて、やめて!この子を苛めないで〜!」叫んだと言う。も、もしかして私、SDあきらめて、そのネコを買わなくちゃいけないんでしょうか…?
その後、無事に楽しく一日を終わりかけた時に思いもかけない悲劇に遭遇。オットが子供達をお風呂にいれ、最初にでてきた娘の体を拭き、天花粉をはたいて着替えさせて手をひいて歩き出した瞬間。足の下に何かツルっとしたものを踏んだ。ぐらっと体が前倒しになりさらに足は固くて嵩のあるものにつまづいて完全にバランスを失った。その瞬間、訳がわからなくなった。体が宙をとびガゴンという鈍くて嫌な感じの音が頭蓋内に響き、衝撃に首が震え、激痛が走った。娘の絶叫にオットが飛び出して来た。目の前が真っ白な私の頭に手をあてて「はじめてだ、こんなすごいたんこぶみたことない!」と叫ぶ声がする。顔中がしびれ、すごい痛みに声もでない。これはなんだろう。だんだん痛みがひろがるのか、終いには呼吸器に異常を来すのだろうか。オットが必死で子供達に服を着せ、自分もきて病院数件に電話をする。吐き気があるか、意識があるかと聞かれる。吐き気はない。意識はなんだか…痺れていて尋常ではない気がするものの、ある。なにもないことを確認しようと言って、オットが救急病院に連れて行ってくれた。レントゲンをとり、ヒビなど入っていないことを確認。大丈夫ですよと言われるまで不安だった。家庭内の事故での死亡は少なくないと言う。大好きだった声優さんも階段からの落下で亡くなられた。
私が転んだ原因は、あしたの資源ゴミの日にだすべくオットがまとめてしばった古新聞と雑誌の塊であった。明朝すぐ運びやすいように階段の上に置いておいたのだが、それをまとめたビニールの紐が長く垂れていてまずそれを私が踏みバランスを崩し、さらにけつまずいて一瞬で体がとんだのである。とんだところに柱の角があった、という信じられない出来事だった。頭、すごく痛いです。なんなんだ〜!
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