私はずっと、SDはこの子ひとりと決めていたのです。


それはあたかも、「子供はもう産まない」と決意する気持ちに似ています(笑)
でもそう言いながら「できちゃった…できちゃったら産みたいのよ、やっぱり」となることもあるわけです。

そんな訳で、2004年春にアンジュに妹ができました。


そのMSD美加に名前を与えようとして、
いくら考えても、どうしても「杏樹(あんじゅ)」という名前がでてくるのです。
ちがうって、アンジュはキラなの、と見比べている時にふと
薔子」という名前が浮かんできました。
まるで、天からぽつり、と降って来た光の一雫のように。


とたんに目の前でこの子がうなずいたのです。
「私はその名前をもらいます。美加にはアンジュの名前をあげる。
それを私から妹への最初のプレゼントにするわ。」


というわけで、3年近く、私のアンジュだった大切なこの娘は
薔子として再生することになりました。


メイクを落とすとこんなに幼い顔をしていたキラ。
それなのにこの子は、私が抱えていたものをずっと一緒に受け止めていてくれたのです。
よくドラマで頼り無い母を一生懸命にかばう少女がでてきたりしますが、ほとんどそれ状態。
ありがとう、今はもう大丈夫だからね、あなたも新しい気持ちになってね、
と話し掛けながら、最初に描いたのはこの眉。
妹の美加杏樹と比べたら、こちらの方が全然幼い顔だちになってしまいました。
なので、消します(笑)


試行錯誤の末、眉の色を決定し、太さと角度を決定しました。
美加のように一筋一筋描きたかったけれど、描いている内に全体のラインが崩れてしまうのです(泣)
で、一思いにさっと筆で一捌けしました。
やっと、今の私が持つ彼女のイメージに近くなった気がします。
もうあまり厳しくないお顔にしてあげたかったのです。
ただ彼女の顔の形、眉にちょうどいい部分に沿って気持ちよく描くと、
まあ、と思う程に憂いを含んだやはり張り詰めた表情になってしまいます。
それが自然の成りゆきなのかしら、と悩み…でも結局やさしいような、ちょっとぽかんとした顔になるようにしました。
まだ幼いけれど、上の画像よりは成長していますでしょう(笑)

睫をつけました。前は、買って来たままの睫をつけていたのです。
今回は、それををまばらにカットし、全体の長さを思いきって短くしました。それでもまだ長いかな〜、という気がします。
睫をつけただけなのに、急にぐっと大人びてきたので驚きました。

 
横から見ると、結構凛々しい眉毛でしょう。
睫の反り方はいい感じかな。


唇を少し華やかなピンクにしてみました。
それで、一気に彼女は新しい命を得たようです。
そして、やはりぐぐっと成長しました。
唇を肌の色に近い、もっと淡い色にすればそれだけで若返るようにも思いますが…


薔子の誕生です。

「私は一人で大丈夫。ずっとそう思っていた…。」


「どんな人でも孤独なら、私の想いもきっと不思議なものではないと」

「でも、彼女が来て、本当は私は寂しかったんだと気付いた。」


「もうひとりじゃない、幸せ」

(2004.5.22)